パートナーと離婚をしたいと考えたとき、いきなり離婚届を提出するのではなく、その前に一度別居をしておくことで、離婚を有利に進められる場合があります。
離婚後の生活は経済的にも精神的にも不安が多いものですから、なるべく心配事は少なくしておきたいですよね。
今回はそんな方に向けて、離婚を有利に進めるための別居期間や、別居前後に取るべき行動をご紹介していきます。
本記事で紹介するポイントをおさえて、納得できる結果を手に入れましょう。
別居から離婚までの平均期間はどのくらい?
厚生労働省が平成 21 年に発表した「離婚に関する統計」によると、82.5%のカップルが別居後1年未満で離婚に至るという結果が出ています。
さらに、5年以内まで範囲を広げると、離婚率は90%以上になります。
別居から離婚までの期間が短い理由としては、そもそも別居の目的が離婚をするためであることなどが挙げられます。
これを読んでくださっている方の中には、関係を修復できる可能性があるならまだしも、最初から離婚が目的なら、わざわざ別居をする必要はないのではないかと感じる方もいるかもしれません。
確かに、直接離婚届を書いて出した方が余計な手間がないのですが、わざわざ別居というプロセスを経るには理由があります。
例えば、パートナーからDVの被害にあっていて、直ちに同居を辞めなければ危険な状況にある方や、夫婦の一方が離婚を拒んでいる方、また顔を合わせると喧嘩になってしまい、冷静な話し合いができないという方は、別居をするメリットがあります。
また、詳しくは後述しますが、離婚を有利に進めるために、あえて1度別居をするというケースもあります。
別居期間が長いと離婚に有利?
夫婦が別居から離婚までの期間は、多くの場合1年未満であるというお話をしましたが、実際、別居期間の長さと離婚には関係があるのでしょうか。
通常、別居期間が長くなると調停や裁判になった際、離婚が認められやすくなります。
というのも、別居期間が長いと夫婦生活が破綻しているとみなされるため、正当な離婚事由になるのです。
夫婦生活が破綻していると判断されるまでの平均年数は5〜10年ですので、お互いに不貞行為など別段の事情がなければ、最低5年が経過すれば、片方が離婚を拒んでいたとしても、合法的に離婚をすることが可能です。
離婚を有利にする別居の準備とは?
前述のとおり、別居が離婚事由として認められるまでに最低5年ほどかかります。決して短い期間ではないので、一刻も早く離婚したいと考えている方であれば、「今すぐにでも別居を始めたい!」と思うかもしれません。
しかし、離婚を有利に進めたいと思うのであれば、別居をする前にいくつかの準備をしておく必要がありますので、順番に確認していきましょう。
別居に向けた準備①|別居後の生活費の確保
別居をするとなると、当然出費は増えます。新しい住居の家賃、食費、生活用品の購入費、お子様がいれば、お子様のための費用もひとりで捻出しなければなりません。
いざ別居を始めたはいいが、気付いたら生活が立ち行かなくなっていたということがないよう、当面の生活費の確保は事前に必ず行いましょう。
とはいえ、元々が専業主婦(夫)であった方など、経済的に余裕がない方もいるかと思います。そういう方は、パートナーに対して婚姻費用請求を行うことができます。
婚姻費用とは何かと言うと、夫婦が通常の社会生活を維持するために必要な生活費のことです。
これには住宅の家賃や食費、日用品の購入費、お子様のための学費などが含まれ、夫婦がその収入に応じて負担すべきものと定められています。
婚姻費用の請求は、婚姻費用分担調停を起こすことで行うことができ、その平均月額は6万円ほどです。
小さなお子様がいる方や、パートやアルバイトの収入がメインの方などは、ぜひ請求を検討してみてください。
別居に向けた準備②|浮気の証拠収集
パートナーの浮気が別居や離婚を検討しているならば、別居をする前に浮気の証拠収集をしておきましょう。
別居が始まってしまうと、どうしてもパートナーの行動が把握しにくくなり、浮気をしていても気付けないことが多くなってきます。
そうなると、浮気の証拠を入手することも難しくなりますので、可能な限り別居前に集めておきましょう。
ご自身で集めることが難しければ、探偵に依頼をするのがおすすめです。
別居に向けた準備③|財産の把握
離婚を前提としているならば、財産分与のことも念頭に入れて行動しましょう。
財産分与とは、離婚の際に、夫婦2人で築いた財産を分配することで、あらかじめご自身の家庭にどのくらいの財産があるのかを把握しておくことで、スムースに取り決めをすることができます。
離婚を急ぐあまり、本来受け取れるはずのものが貰えなかったというケースは意外とあるので、事前にしっかりとチェックしておきましょう。
別居後にすべきこと
準備を整えて、無事に別居を開始することができても、それで終わりではありません。
続いては別居後にすべき行動についてご紹介していきます。
別居後にすべきこと①|住民票の異動
離婚を前提とした別居であれば、なるべく早く住民票の異動手続きを行うことをおすすめします。
そもそも、引っ越しをした際は、住民票を移す手続きを行わなければならないと法律で定められていることもありますが、それ以外にも、住民票の異動は調停や離婚裁判になったときに、別居の事実や別居期間を示す証拠としての役割を果たしてくれます。
また、その地域の公共サービスを受けるためにも、基本的に住民票の届け出が必要ですので、忘れずに手続きを行うようにしましょう。
しかし、DVやストーカーの被害にあっているといった事情のある方にとっては、住民票の異動をすることで、配偶者に別居先の住所が知られてしまう危険があります。
もし、新しい住所を配偶者に知られたくないということであれば、住民票の閲覧・交付の制限支援措置を受けることができますので、役所の担当窓口に相談してみてください。
別居後にすべきこと②|離婚交渉の準備
別居期間中に、離婚交渉の準備をしておくことも重要です。
離婚交渉に望む前に、離婚にあたってのご自身の主張や希望を明確にしておきましょう。
本人同士の交渉のみで離婚する場合、調停または裁判による場合でも、財産分与、親権、養育費などに関して、目指すべきゴールをあらかじめ考えておくと望む結果を得やすくなります。
また、相手の浮気が原因で離婚をする場合は、証拠を整理しておくと良いでしょう
別居後にすべきこと③|離婚後の生活について考えておく
別居期間中に、離婚後の生活のことを考えておくことも重要です。
中でも多くの方が不安に感じているのは、やはり経済面でしょう。
別居期間中は、パートナーに婚姻費用の請求を行うことができますが、離婚して婚姻関係がなくなれば、それ以上支給されることはありません。
そのため、仕事の確保をしたり、お子様がいる方は児童扶養手当(母子手当)を始めとした手当や補助金の金額や申請方法の情報収集をしたりと、今後の生活を安定させる準備に時間を使ってください。
一刻も早く離婚したい場合
相手に浮気(不貞行為)の事実がなく、離婚に応じてもらえない状況であれば、最低でも5年程度別居し、離婚調停や裁判を起こすのが有効です。
しかし、中にはそんなに待てない、一刻も早く離婚をしたいという方もいるかと思います。
そういった場合は、協議離婚を目指すのが良いでしょう。
協議離婚とは、裁判所を通さず、当事者(夫婦)のみの話し合いによって離婚をすることで、これは本人同士の合意さえあれば、別居期間が短くても問題ありません。
離婚のための話し合いを有利に、かつスピーディーに進めたい場合は、事前に財産の把握や浮気の証拠を入手しておくのが有効です。
また、どこまでの条件なら自分が妥協できるのか、もしくは妥協できない点はどこかを明確にしてから話し合いに臨むことで、さらにスムースに離婚をすることが可能です。
別居で離婚を有利に進めることができる!
別居から離婚に至るまでの期間は1年未満であるケースが大半ですが、基本的に別居期間が長くなると、それだけ夫婦関係が破綻していると判断され、離婚に有利に働きます。
離婚を前提とした別居を考えているのであれば、別居を開始する前に、探偵を利用してパートナーの浮気の証拠を集めたり、財産分与の対象となる財産の把握をしておきましょう。
また、別居後は離婚に向けた話し合いの準備や、別居後の生活を想定して生活をするようにしましょう。
事前にできるだけ入念な準備をしておくことで、満足のいく結果を手に入れやすくなります。