浮気調査

探偵事務所の調査は違法にならない理由|違反にあたる内容を解説

尾行や張り込み、GPSの使用など、探偵業は一見「違法では?」と思われる仕事がたくさんあります。

一般的には違法行為に当たりますが、なぜ探偵は法で裁かれないか、みなさんご存知でしょうか?今回は探偵事務所が違法にならない理由と探偵が行えない仕事について詳しく解説したいと思います。

探偵業法に基づいて調査が可能

平成18年に「探偵業の業務の適正化に関する法律(探偵業法)」が公布されました。この背景には「依頼者との契約上のトラブル」や「違法調査、犯罪の発生」など悪質業者による違法な営業活動が背景にありました。

これにより、依頼者は安心して調査依頼をすることが可能になりました。探偵業を行う上での許可が各都道府県から行われることが前提となりました。下記では探偵業の許可の流れについて説明しています。

条件1:探偵業開始届出を提出している

探偵業を営むには、「探偵業開始届出」を各都道府県の公安委員会に提出する必要があります。この探偵業開始届には履歴書や身分証明書といった当人の身元を明らかにする書類が含まれ、これらを基に公安委員会による「探偵業届出証明書」を交付されなければ探偵になることはできません。

探偵事務所M&Mの探偵業届出

探偵業届出千葉県公安委員会
 第44180008号
千葉県公安委員会
 第44210017号

探偵業届出は事務所内の見えるところに証明書が飾られている他、ホームページにもその旨が掲載されています。探偵への依頼を検討されている方は、その辺りもチェックしてみると良いでしょう。

条件2:法律に則り業務を行っている

探偵が行う調査(尾行、張り込み)などは先述した法律の下、合法として扱われています。下記が探偵業においての法律になります。

この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。

引用元:e-GOV 法令検索『探偵業の業務の適正化に関する法律』

とはいえどんなやり方も許されているというわけではなく、度を越した調査を行えば探偵であっても罰則の対象となってしまいます。

違法行為を行った探偵の処分

法律などで尾行や張り込みは合法とされているものの、度を越した調査は処罰の対象となります。どのような行為をすると罰則の対象となってしまうのか、その内容について解説をしていきましょう。

ちなみに探偵業法違反などで各都道府県の公安委員会が営業停止命令・廃止命令を出した事務所は警視庁ホームページに公開されています。公表期間は処分が行われてから3年間ですが、依頼する事務所を選ぶ際は1度目を通しておくと安心です。

指示処分

指示処分とは行政による指導のことで、調査に対し対象や近隣住民から苦情が寄せられた際などに下される処分のことです。苦情の元となる調査員を対象から外したり、今後同様のトラブルを起こさないよう指導される内容になります。

この段階で刑事罰が科せられることはありませんが、所属地域によっては処分を受けた探偵事務所として警察署のホームページに掲載されるため、経営にも少なからず影響することになります。

停止命令

停止命令は事務所の永続も見込める処罰ではありますが、業務の一部もしくは全体を一時停止させるという内容です。

併せて罰則を科せられるケースもあり、例えば探偵業開始届出を提出せず営業していた事務所には6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金と探偵業法によって定められています。

廃止命令

探偵事務所の廃業を命ぜられる処分です。廃止命令を受けた人物は当事務所をはじめ採用を受付けていませんから、別の事務所で働くことも難しくなります。

違反すれば1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されることになります。

探偵が行うと違法となる調査一例

先ほど探偵も処罰されることがあると紹介しましたが、では具体的にどんな行いが罪に問われてしまうのでしょうか。今後みなさんが依頼される時のために、最後に探偵が行ってはいけない調査内容をご紹介したいと思います。

ケース1:浮気調査

主に浮気調査において違法行為にあたるのは以下の4つです。

  • SNSやメールをチェックする
  • 監視目的のアプリをダウンロード
  • 所有物にGPSを設置する
  • 住宅に立ち入る行為

SNSやメールをチェックする

LINEを筆頭にSNSやメールは浮気相手との連絡手段としても利用されますから、効率だけ考えればそうしたやり取りを押さえてしまうのが1番簡単で確実な調査方法といえるでしょう。

しかしSNSやメールなどのコミュニケーションツールを相手の許可なく覗くのは「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)」に抵触しており、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられることになります。テレビなどではよくLINEのキャプチャを浮気の証拠として取り上げていますが、探偵が調査対象のパソコンやスマホを許可なくチェックすることはできないというわけです。

参照:e-GOV 法令検索『不正アクセス行為の禁止等に関する法律』

監視目的のアプリをダウンロード

昨今はさまざまなアプリが開発され、私たちの生活を便利にしてくれています。その中には防犯用の位置情報特定アプリもあり、浮気調査に役立つのではとお考えになる人もいるかも知れませんね。

確かに調査対象の行動が分かる防犯用アプリは便利ですが、それはあくまでもしもの時に役立てるものであり、監視用ではありません。調査対象に使用目的を偽ってアプリをダウンロードさせれば「不正指令電磁的記録に関する罪(不正指令電磁的記録共用罪)」に問われることになり、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

もちろん調査対象が監視されることを承認したうえで自らアプリをインストールするのであれば問題ありませんが、防犯アプリを監視目的と告げないまま使用させることはできないのでご注意を。

参照:e-GOV 法令検索『不正指令電磁的記録に関する罪』

所有物にGPSを設置する

防犯用アプリだけでなく、調査対象の位置を特定するにはGPSを用いるという手段もあります。実際探偵の調査で使う機会も多いですが、GPSの取り付けにはいくつか注意点があるんですよ。

まず基本的に探偵が調査対象の所有物にGPSを設置する場合、相手の許可が必要となります。承諾を得ないまま使用すれば対象のプライバシーを侵害したとして、基本的人権の侵害・不法行為に当たる可能性が高いです。もちろんこれは調査対象にだけでなく、浮気相手の方の場合にも当てはまります。

また依頼主と調査対象の共有の財産である車などであっても、取り付けには双方の合意が必要です。いくら調査対象側に非があっても違法性が問われてしまうので、探偵にGPSの調査を依頼したい方は合意が必要ということをお忘れなく。

なお探偵事務所M&Mでは依頼者ご自身で取り付けていただけるGPSのレンタルを行っています。探偵が行うのとは違い合法的に使用することができるので、気になる方はぜひお気軽にご相談ください。

参照:e-GOV 法令検索『日本国憲法』
   e-GOV 法令検索『不法行為』

住宅に立ち入る行為

これはみなさんご想像できるかと思いますが、いくら探偵であっても他人の住宅に許可なく立ち入ることはできません。もし住居の敷地内に許可なく立ち入り調査を行えば「住居を犯す罪(住居侵入罪)」に問われ、悪質な場合は最長20日間の拘留処置、さらには3年以下の懲役または10万円以下の罰金刑に処されます。

ちなみに戸建ての場合だけでなく、住居侵入罪に問われるのはマンションの敷地内でも同様です。

参照:e-GOV 法令検索『住居を侵す罪』

ケース2:素行調査

浮気調査と並び依頼が多い素行調査においても、探偵が行ってはいけない行為がいくつかあります。依頼内容に関する注意事項もあるので、探偵事務所を訪れる前にみなさんぜひチェックしていってください。

  • 差別に繋がる情報の調査
  • 行き過ぎた張り込みや尾行
  • 郵便物を探る行為

差別に繋がる情報の調査

みなさんご存知のとおり素行調査は結婚前などによく利用されるものですが、相手のことを何でも調べられるというわけではありません。素行調査はあくまで生活実態や交友関係を知りたい場合にのみ有効な手段であり、金銭面や犯罪歴といった差別に繋がる情報は調査対象外なのです。

これは先に述べた探偵業法の中で定められており、違反が判明した際は各都道府県の公安委員会により処分が下されることになっています。

探偵業者は、当該探偵業務に係る調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはならない。

引用元:e-GOV 法令検索『探偵業の業務の適正化に関する法律』

行き過ぎた張り込みや尾行

素行調査は対象の生活実態や交友関係を調べる仕事ですから、昼夜問わず張り込みや尾行を行うことも多々あります。しかし調査対象に尾行・張り込みがバレたり不快に思われれば、探偵のことをストーカーとして訴えることも可能です。

ストーカーと見なされるような付きまとい行為は「ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)」に触れているだけでなく、各都道府県の迷惑防止条例違反にも問われます。

ストーカー規制法違反となれば1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科され、さらには調査失敗で依頼主に迷惑がかかる…探偵にとって行き過ぎた張り込みや尾行は最も注意すべき失敗の1つです。

参照:e-GOV 法令検索『ストーカー行為等の規制等に関する法律』
   東京都『迷惑防止条例全条文』

郵便物を探る行為

これもテレビなどではお馴染みですが、実は調査対象のポストを漁る行為は「窃盗及び強盗の罪(窃盗罪)」に該当してしまいます。住宅外のポストにあるとはいえ郵便物も立派な所有物ですから、いくら調査でもそれに手を触れてはいけません。

またポストの設置場所によっては覗くだけでも住居侵入罪などに問われる可能性があり、探偵にとって郵便物に触れる・近づく行為はどちらもご法度となっています。

参照:e-GOV 法令検索『窃盗及び強盗の罪』

ケース3:人探し

人探しの調査においても探偵が気をつけるべきことはいくつかあります。特に依頼内容に関わることが多く、誰でも探せるわけではないという点に注意してください。

  • 成りすましによる聞き込み
  • DV被害者の調査
  • 復習目的の人探し
  • ストーカー目的

成りすましによる聞き込み

人探しでは聞き込みを行うことが多いですが、その際探偵であることを偽って調査を進めてはいけません。確かに情報を聞き出しやすくするには身近な人物になる方が有利ですが、例えば警官に成りすませば官名詐称として軽犯罪法違反に、ガス会社など別企業の人物だと偽れば不正競争防止法違反に当たります。

名前を借りればその仕事や人物に損となる可能性があるため、探偵の調査であっても成りすましはNGというわけです。

参照:e-GOV 法令検索『軽犯罪法』

DV被害者の調査

探偵業法では犯罪に加担する調査は禁止されていますが、これはDV(ドメスティック バイオレンス)被害者を突き止めることにも当てはまります。依頼主は調査対象に再度危害を加える可能性が高く、依頼遂行によってDV被害者が傷つくことを避けるためですね。

またDV被害者の保護は「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)」でも提言されていますから、依頼主がDVを行っていた事実を知りながら仕事を請けることは重大な違法行為となっています。

参照:e-GOV 法令検索『配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律』

復習目的の人探し

DV被害者のケースと同じく復習目的の調査は依頼完遂後に対象の身に危険が及ぶ可能性が高いため、犯罪行為への加担と見なされます。依頼主の意図を知ったうえで依頼を請ければ、復習目的の人探しも探偵業法違反として処罰の対象になるのです。

ストーカー目的

これも上述の内容と同じく、ストーカー目的の調査は犯罪を助長させるものです。他2つのケースと同様、依頼主の目的を知ったうえで調査を行えば探偵業法違反として処罰されることとなっています。

探偵業は合法!クリーンな探偵なら安心して依頼できる!

GPSの使用など一見違法行為に見えますが、探偵の調査は合法的なものであるとお分かりいただけたことでしょう。しかし中には行き過ぎた調査・違法行為を行う事務所もありますから、依頼を検討されている方は注意が必要ですよ。探偵事務所M&Mは合法的な調査を行っていることはもちろん、途中経過の報告などお客様に安心していただけるよう配慮しております。何かお困りことがございましたら、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。